SELECT文の基本

プログラミング

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この記事では競艇予想の基本であるコース別データを作りながら、SQLの基本であるSELECT文を学習します。いきなり完成品を見せるのではなく、SELECT文を書くための順序と考え方を学ぶため、1つずつステップを踏みながら作ります。

SELECT文を制するものはSQLを制す

この格言は、管理人@PC-KYOTEIが仕事で20年以上にわたり、SQLを書き続けて得た格言です。SQLは非常に多様な機能を持つため、全てを覚える必要はありません。代わりに、SELECT文に重点を置いて学習することをオススメします。なぜなら、SELECT文以外のSQLは一般的に使用頻度が高くないからです。そのため必要になった場合に、必要な情報をググれば十分です。

WHERE句を使って目的のレコードを自由に抽出できるようになれば、SELECT文の文法しか知らなくても「私はSQL書けます!」と自慢してOKです。UPDATE文やDELETE文も、SELECT文と同じWHERE句を知っていれば書けますから。

プログラミングに正解はない

そして、プログラミングが苦手な人や初心者の方によく見られる誤解の一つは、最初に学んだ方法が絶対的に正しいと思い込んでしまい、他の方法や考え方を探すことを諦めてしまうことです。

プログラムは料理と似ています。料理には正解のレシピが存在しませんよね?例えばカレーを作る場合、材料の種類や分量、煮込み時間などは個人の好みや自分の目指す味によって異なるものです。少しの違いがあっても、自分にとって美味しいなら問題ありません。

プログラミングも同じです。多くのお手本となる良いプログラムを調べながら、自分自身で試行錯誤し、経験を積んでいくことが大切です。失敗を恐れずに挑戦し、上達を目指してください。

SELECT文とは

「SELECT文」とは、世界共通のコンピューター言語である「SQL(エスキューエル)」の1種であり、データベース内のテーブルから必要なデータを取り出すためのコマンドです。SELECT文は機械学習モデルの作成においても必要不可欠です。

ちなみに、SQLには「標準SQL」という規格があり、一度覚えるとPostgreSQL以外のデータベースでも使うことができます。標準語と関西弁の違いみたいなもんですわ。

レコードの抽出条件を設定する

SELECT文の第1歩はレコードの抽出から。データベースの世界で「レコード」とは、行単位のデータを指します。今回は、

  • 集計期間は2020年から2021年
  • 集計値はコース別の勝率
  • 進入固定競走のみ

以上の条件で、コース別データを集計することにします。

今回はあくまでSELECT文の学習が目的ですから、集計期間の妥当性やらを考えたり、集計結果の精度や品質にはこだわりません。

以下は、条件を満たすレコードを抽出する最初のステップとしてのSELECT文です。

SELECT
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
, ap.chakukaisu_1
FROM
  apd_r3 ap
WHERE 1 = 1
AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'

SELECT文の「基本の基本」は、この3つの句で構成されます。

  1. SELECT句
  2. FROM句
  3. WHERE句

データベースがSELECT文を解析する順序

データベースがSELECT文を解析する時は、次の順序で解析しています。

  1. FROM句→どのテーブル見るの?
  2. WHERE句→レコードの抽出条件は?
  3. SELECT句→表示する項目は?

なので、人間がSELECT文を考えるときも同じ順序で書いていくと分かりやすいです。

FROM句

では、その順序に従ってFROM句に、見るテーブルを書きます。コース別データを作成するには「艇番払戻」を使うのが便利です。なので、FROM句にそのテーブル名「apd_r3」を書きます。

テーブル仕様については、PC-KYOTEIテーブル定義書を参照してください。
■PC-KYOTEIテーブル定義書はこちら
PC-KYOTEIテーブル定義書.zip (Excel版)

テーブル名の直後に書いてある(宣言している) “ap” はSQLの世界で「別名(べつめい)」と呼びます。別名は、

  • 重複する名前を分類するため
  • その項目が、どのテーブルに属しているか明示するため
  • 可読性、つまり人間がSQLを読みやすくするため

に使います。別名を宣言したらSQL内の項目が、どのテーブルに属しているのか「別名+”.”(ピリオド)+項目名」の形で全て明示します。

ここでは別名を “ap” にしていますが “t1” でも他でもかまいません。

WHERE句

次はWHERE句に、レコードの抽出条件を書きます。各項目と値の意味は「PC-KYOTEIデータ仕様書」で調べながら書きます。開催年の「範囲」はサンプルのように “>=” と “<=” の演算子でその範囲を指定します。

抽出条件を複数書く場合は「AND」でつなぎます。SQLは改行やインデント、大文字小文字の違いなど、書式にうるさくない言語ですが、サンプルのように式や項目を1行ずつ書いたほうが分かりやすくて修正も簡単です。

SQLにおける「インデント」とは、可読性を高めるための、行の先頭に挿入する、半角スペースによる段落です。

そして「WHERE 1 = 1」という書き方は、抽出条件の有無に関わらず、常にWHERE句の構文として成立させるための書き方です。管理人@PC-KYOTEIは、この書き方を習慣にしています。こうすれば、式をコメントアウトするだけで抽出条件のオン・オフを簡単に切り替えることができ、データ検証する時とても便利です。なお、全てのレコードを取得するために抽出条件が不要な場合は、WHERE句の記述は不要です。

SQLの「コメントアウト」とは以下のように、通常、”–“(ハイフン2つ)でコメントアウトします。コメントアウトされたSQLは実行されず、SQLの説明やメモとしても利用できます。

WHERE 1 = 1
--AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'

注意すべきポイントは、SQLが数値と文字列を異なるデータ型として扱うことです。そのため、それぞれに適切な方法で表現する必要があります。文字列型の項目に対する抽出条件では、値をシングルクォーテーションで囲む必要があります。数値型の項目に対する抽出条件では、値をそのまま書きます。

SELECT句

最後はSELECT句に、検索結果に表示する項目を書きます。今は、とりあえず競艇場コード、艇番、1着回数だけ。SELECT句に複数の項目を書く場合は、カンマ(,)でつなぎます。

SQLの実行結果はこのようになります。

SQLの実行結果

テーブルの結合

前章で競艇場コード、艇番、1着回数を表示しました。あとは進入固定競走を表す情報が必要です。その情報は「出走表(レースNo)」にあるので、そこから取得して進入固定競走の抽出条件を追加しましょう。

SELECT
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
, ap.chakukaisu_1
FROM
  apd_r3 ap
INNER JOIN
  brd_l2 l2
ON  l2.kaisai_nen = ap.kaisai_nen
AND l2.kaisai_tsukihi = ap.kaisai_tsukihi
AND l2.kyoteijo_code = ap.kyoteijo_code
AND l2.race_no = ap.race_no
WHERE 1 = 1
AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'
AND l2.shinnyukotei = '1'

赤字の部分が今回追加した部分です。

「ON」のあとに複数の項目を書く場合は、WHERE句と同じく「AND」でつなぎます。

実行結果は進入固定競走が行われた競艇場のみ出てきました。

JOIN句

1つのSELECT文で2つ以上のテーブルを使う場合は、JOIN句にテーブルとテーブルの結合条件を書きます。テーブルの結合には、次の2つがあります。

  1. INNER JOIN (内部結合)
  2. LEFT JOIN (外部結合)

この他にもあるのですが、管理人@PC-KYOTEIが仕事で20年以上にわたりSQLを書き続けて、この2つ以外の結合に出番はありませんでした。なので「結合はこの2つだけ」と覚えてください。今回は内部結合の「INNER JOIN」だけを使います。テーブルを3つ、4つと使いたい場合は、このJOIN句の下に同じように2つ目、3つ目のJOIN句を続けます。

キーでテーブルを結合する

そして、キーでテーブルを結合します。「キー」とはデータベースがテーブルのレコードを一意に識別するための項目です。主キー(しゅきー)と呼ぶ場合もあります。PC-KYOTEI Databaseではレースを識別するキーを、次の4つの項目で定めています。言い換えると、この項目でレースを特定しています。

  1. kaisai_nen (開催年)
  2. kaisai_tsukihi (開催月日)
  3. kyoteijo_code (競艇場コード)
  4. race_no (レースNo)

「艇番払戻」と「出走表(レースNo)」は、同じキー項目を持っているため、それぞれの項目がどのように紐づくのかをON句に書きます。ここで、先ほど登場した「テーブルの別名」が役に立つわけです。

SQLの実行結果はこのようになります。

SQLの実行結果

グループ化して集計する

いよいよコース別データを集計します。赤字の部分が今回追加した部分です。

SELECT
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
, sum(ap.chakukaisu_1) AS rate_1
FROM
  apd_r3 ap
INNER JOIN
  brd_l2 l2
ON  l2.kaisai_nen = ap.kaisai_nen
AND l2.kaisai_tsukihi = ap.kaisai_tsukihi
AND l2.kyoteijo_code = ap.kyoteijo_code
AND l2.race_no = ap.race_no
WHERE 1 = 1
AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'
AND l2.shinnyukotei = '1'
GROUP BY
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban

GROUP BY句

まずGROUP BY句に、グループ化する項目を宣言します。ここでは前章までの結果を、

  • 競艇場コード
  • 艇番

のグループに分類して1着回数の合計値を求めます。

グループ化のイメージ

データベースの内部では、次のような流れで処理しています。まず、GROUP BY句で宣言した項目の値が同じレコードを並べてグループ化します。ここでは下図の赤い囲み線と、青い囲み線がそれぞれ「同じグループ」です。その同じグループを1行にまとめて・・

グループ化する前の実行結果

sum 関数が chakukaisu_1 の合計値を集計するわけです。

グループ化した後の実行結果

このグループに他の項目を加えてさらに具体化したり、グループから除外して抽象化したりできます。今回は合計値を返すSQLの集計関数「sum」を使いました。これ以外にSQLの集計関数には、

  • avg (平均値を集計する)
  • max (最大値を取得する)
  • min (最小値を取得する)
  • count (レコード数を取得する)

が、あります。

そして1着回数の合計値をグループのレコード数で割れば勝率が出せます。

SELECT
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
, sum(ap.chakukaisu_1) / count(*) * 100 AS rate_1
FROM
  apd_r3 ap
INNER JOIN
  brd_l2 l2
ON  l2.kaisai_nen = ap.kaisai_nen
AND l2.kaisai_tsukihi = ap.kaisai_tsukihi
AND l2.kyoteijo_code = ap.kyoteijo_code
AND l2.race_no = ap.race_no
WHERE 1 = 1
AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'
AND l2.shinnyukotei = '1'
GROUP BY
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban

式に別名を付ける

最後に、集計関数で編集した式に「AS」を使って、検索結果に対して別名を付けています。別名を付けない場合は、式がそのまま列名になります。それでは見た目が良くないでしょ?なので、ここでは1着率を意味する「rate_1」という別名を付けています。「AS」は省略可能ですが可読性を高めるため、管理人@PC-KYOTEIはいつもこの書き方を習慣にしています。

SQLの実行結果はこのようになります。

SQLの実行結果

検索結果の並べ替え

最後は、検索結果を見やすく整理するためにレコードの並び順を指定します。

SELECT
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
, sum(ap.chakukaisu_1) / count(*) * 100 AS rate_1
FROM
  apd_r3 ap
INNER JOIN
  brd_l2 l2
ON  l2.kaisai_nen = ap.kaisai_nen
AND l2.kaisai_tsukihi = ap.kaisai_tsukihi
AND l2.kyoteijo_code = ap.kyoteijo_code
AND l2.race_no = ap.race_no
WHERE 1 = 1
AND ap.kaisai_nen >= '2020'
AND ap.kaisai_nen <= '2021'
AND l2.shinnyukotei = '1'
GROUP BY
  ap.kyoteijo_code
, ap.teiban
ORDER BY
  ap.kyoteijo_code ASC
, ap.teiban ASC

ORDER BY句

赤字の部分が今回追加した部分です。検索結果の並び順を指定するには「ORDER BY句」を使います。ここでは、次の順序で並べ替えしています。

  1. 競艇場コードの昇順
  2. 艇番の昇順

並び順は項目のあとに、

  • ASC (昇順→小さい順)
  • DESC (降順→大きい順)

の、いずれかを指定します。ただし、今回の並べ替えはGROUP BY句と同じ内容なので、ORDER BY句なしでも結果は同じです。

SQLの実行結果はこのようになります。以上で、コース別データは完成です。

SQLの実行結果

このSQLをベースにして、抽出条件を変更したり自由にカスタマイズしたりできます。最初のカレーの話と同じ考え方ですね。

SELECT文の基本のまとめ

SELECT文は、次の6つの句で構成されています。

  1. SELECT句→表示する項目は?
  2. FROM句→どのテーブル見るの?
  3. JOIN句→テーブルの結合は?
  4. WHERE句→レコードの抽出条件は?
  5. GROUP BY句→グループ化する項目は?
  6. ORDER BY句→並べ替えの項目は?

この他に、集計関数の演算結果でフィルターする「HAVING句」がありますが、出番はあまり無いです。なので、必要になるまで知らなくて良いです。ほとんどのSELECT文は上記の「6つの句」だけで出来ています。

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